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2008年05月25日

Hulk #3

だいたんにもS.H.I.E.L.D.ヘリキャリアに侵入しブルース・バナーの情報を強奪した赤ハルク。彼の次の目的地は、ブルースが収容されているネヴァダ州の軍施設だった。阻止を図る青アボミネーション(リック・ジョーンズ)やハーピー(ハルク抑止兵器として作られたロボット)と戦いながら、赤ハルクは着実に前進する。そのころ、ブルースは地中深くの収容室で異変を感じ取っていた…。

よくいえば豪快、悪くいえば大雑把。“ワォ!リックが変身!スゲーぜ!”というのが正しい読み方なのはわかるが、登場人物の奇妙なよそよそしさが気になり、すなおに入り込めない。虹彩認証のくだりはいちおう赤ハルクの正体のヒントだが、間の悪いギャグに見える。絵も荒く、一例をあげれば、ほとんどの構図で足がカットされている。足を描くと位置関係のおかしさが露わになってしまうのでごまかしているのだ。

2008年05月20日

World War Hulk Aftersmash: Warbound #2-5

“ハルク大戦”終結後、連邦政府から追われる身になった異星人たち、ウォーバウンド。戦いの傷を癒すいとまもなく逃避行を余儀なくされた彼らの前に、やっかいな相手が現れる。ハルクの宿敵のひとり、リーダーだ。その目的は、ウォーバウンドのヒロイムを拉致し、巨大なガンマ線ドームを建設して強大なエネルギーを獲得すること。それがドームの下に取り残された数百人の死につながることなど、彼にとってはなんでもないのだ。戦友を奪還し人々を安全な場所に避難させようと奮闘するウォーバウンドだったが、いったんリーダーに操作されたヒロイムは、みずからのコントロールを失っていた…。

一種の怪作。前半の展開はなかなかスリリングで、ヒロイムがある決意を固めるくだりなど大いに盛り上がるが、後半の迷走もすごい。おそらくキャラ惚したのだろう、Greg Pakは。ひとりひとりのキャラクターは魅力的だが、グループ内に葛藤がないため、ドラマとしては弱い(これと比べるとレネゲイズにウォーレンがいた意味がよくわかる)。“愚かな人間ども”というセリフを繰り返すのも安易だ。といろいろ文句を書き連ねたが、読んでいるあいだはけっこう楽しかった。ヒロイムとの戦いのあとコルグが故郷の風習を思い出すくだりなど悶絶もの。ある種の人々には涙ものかもしれないが。Leonald Kirkの闊達な絵も良かった。

2008年05月06日

Hulk #2

赤い偽ハルクの出現。対応を協議していたトニー・スタークのもとに急報がもたらされる。偽ハルクがだいたんにもシールド・ヘリキャリアに侵入してきたのだ! 即座にアイアンマンに変身して応戦するトニー。しかし、偽ハルクの破壊行為はヘリキャリアに深刻なダメージをもたらす。都合の悪いことに、そこはマンハッタンの上空だった…。

ハリセンの音が響く響く。まず気になるのが、偽ハルクはハルクのことを当初よく知らなかったということ。おそらく彼の正体は“ハルク大戦”の教訓から合衆国陸軍が開発した対ハルク抑止兵器ではないだろうか。彼の行動はプログラムの暴走によるもの。その計画にはリック・ジェームスも一枚かんでいた、とすればいろいろつじつまが合う。“World War Hulk”を受けての展開としては悪くないし、歴代アイアンマン・アーマーが出動するところなど“ああ、読者を楽しませようとしているな”と伝わってくる。ただし、問題は多い。展開があまりにも不自然なうえ、読者の心理を投影できるキャラクターがひとりもいないため、置いてきぼり感が強い。危機的な状況だというのに、みんなみょうに他人事のようなのも興をそぐ。こんなに下手だったけ? Jeph LoebとEd McGuinnesって?

2007年12月19日

World War Hulk #5

ヒーローたちの危機を目の当たりにしてついに打倒ハルクに立ち上がったセントリー。しかし、恒星に比類するエネルギーを持つ彼が自らを戦いに解き放つことは、地球そのものの破壊をもたらしかねない危険な行為だった。いま、マンハッタンを包む巨大な火球と化したセントリーを止められるのは、ハルクしかいなかった…。

非難する声が多いようだが、僕は評価したい。事件の真犯人の“We all must die. All thing passing, so the next thing can come.”という言葉には確かに一片の真実が含まれているかもしれないが、われわれはそのような絶望に捕らえられたまま生きていくことはできない。このペシミズムを克服するにはどうすればいいか。甘いかもしれないが、ハルクの“I'll never leave you.”という言葉がひとつの手がかりになるだろう。リック・ジョーンズの安否はたしかに気になるところ。救急車に乗せられているのだから、希望はあるように思えるのだが。

2007年10月15日

The Incredible Hulk #110

独自の立場で“ハルク戦争”収拾の道筋を探るアマデウス少年。本来の自分はけっして好戦的ではないことを、彼はなんとかしてハルクに思い起こさせようとする。しかし、ハルクはやり場のない怒りでいっぱいで、あくまでも頑なだった。

“Warbound”#5。おもしろい。ハルクとアマデウス少年がマディソン・スクエア・ガーデンの屋根に登る場面で、“こういう光景をTVなどでずいぶん見たな”とあらためて思う。ハーキュリーズをはじめとするサブキャラクターの扱いもいい。ハルクの残虐行為に関してクリエイター陣を指弾する声がファンの間にもあるが、単なるショッカーではなく、痛ましい光景として描いている(言い換えると、復讐は何も生まないと訴えている)のではないだろうか。ここまで事態が悪化してしまうと、二度と元の平和は戻らないと、悲観的にならざるを得ないのは確かだが。

2007年10月06日

World War Hulk #4

NYCを制圧し、ヒーローたちを捕縛したあと、ハルクはマジソン・スクエア・ガーデンを闘技場に改造する。彼はヒーローたちに殺し合いをさせるつもりなのだ! この暴挙を止めるため、ドクター・ストレンジは自らに悪魔を憑依させるという危険な賭けに出る。圧倒的な強さでハルクを打ちのめすドクター・ストレンジ。しかし、戦いのなか一般市民に被害が及びかけたことで、状況は一変するのだった…。

このリミテッド・シリーズのテーマがようやくわかった。“復讐よりも理解を”と訴えているのだ、Greg Pakは。報復を大義名分とした争いが止まない現実のなか、このメッセージには苦く空しいものがある。John Romita Jr.の迫力たっぷりのアクションにも痛ましさがつきまとうのは、そのせいだろう。

今月のMarvel ComicsはMike Wieringoの追悼に1ページを捧げているようだ。ここに掲載されているスケッチは彼がFFを離れるにあたって描かれたものだろうか? それにしても享年44歳とは早すぎだ…。

2007年09月20日

The Incredible Hulk #108-109

憤怒をあらわにしマンハッタンを瓦礫の山に変えていくハルク。多くの人々が彼を阻止しようと攻撃を試みるなか、別の角度から彼に接近しようとする少数の者がいた。その誕生以来ハルクを見つめてきたリック・ジョーンズと、ハルクに親近感を抱く少年アマデウス・チョだ。だが、二人がようやくハルクのもとにたどり着いたそのとき、ロス将軍率いる陸軍精鋭部隊の苛烈な攻撃が始まるのだった…。

“Warbound”#3-4。おもしろい。#108は一種の番外編で、リックとハルクの親友を自認するエイリアンの出会いが回想を交えて描かれる。復讐を是認するエイリアンと血を流すほかにも方法はあると信じるリック。ともにハルクを慕っていながら、二人の目指すところはまったく異なるのだ。Leonard Kirkの堅実な絵が内容によく合っている。#109は#106-107の続き。文字どおり生死をともにするなかで絆を深めていくアマデウスとハーキュリーズ、エンジェル、ネイモラ。エモーショナルな盛り上がりの直後、ハルクの残虐行為が明らかになり、一挙に緊迫感が増すあたり、見事な構成だ。こちらの絵を担当しているCarlo Pagulayanには日本の漫画の影響が感じられる。アマデウスがチョコレートを口にする描写は「デスノート」を意識したものだろう。

2007年09月18日

The Incredible Hulk #106-107

怒りに燃えたハルクの地球帰還が迫る。友人たちの多くがこの事態にどのように対処するべきか態度を決めかねているなか、天才少年アマデウス・チョはハルクの力になる決心を固めていた。彼はまずシー・ハルクことジェニファー・ウォルターズに協力を打診する。この行動を妨害するため、ミスター・ファンタスティックはドク・サムソンを二人のもとへ差し向けるのだった…。

“Warbound”#1-2。“World War Hulk”のサイドストーリーだが、単独で読んでもなかなかいいでき。それぞれのキャラクターの思いを言葉ではなく行動によって語らせているのがポイント。漫画の脚本はこうありたいものだ。アマデウスの言動は狡猾だが、そのぶんヒーローたちのピュアさが際立っている。ハルクに激しく殴打されながらも和解を申し出るハーキュリーズがかっこいい。エンジェルをお坊ちゃんキャラに仕立てるのもおもしろいアイデアだ。いかに優秀な頭脳の持ち主といえども、アマデウス少年にハルクの悲しみを受け止める度量があるとは思えないのだが、そのことが明らかになったとき、二人の関係はどうなるのだろう。

2007年09月06日

World War Hulk #3

ロス将軍自ら率いる合衆国陸軍精鋭部隊の出現。アダマンティウム弾を雨霰のように浴びせる猛攻に、さすがのハルクも防戦を強いられる。その一瞬のスキを突いて、ドクター・ストレンジがハルクの内面に侵入する。自分が助けになると、彼はハルクの中のブルース・バナーに手を差し伸べるのだが…。

おもしろい。いまハルクはひとりだけで猛り狂っているのではない。ブルースもキャイエラの死を深く悲しみ、彼に同調しているのだ。そのことに思い至らないヒーローたちには、何かが欠けているのではないだろうか。一方、たとえ地球人を皆殺しにしても彼女が生き返ったりしないことはハルクも十分承知しているようだが。それでも彼はヒーローたちに殺し合いをさせるつもりなのだろうか。John Romita Jr.の絵は今回もすばらしい。ハルクが陸軍部隊を打ち破るくだりの爽快感。キャラクターの表情も良い。

2007年07月29日

World War Hulk #2

復讐の鬼と化したハルク。いまの彼には従妹のジェニファーの言葉も届かない。ブラックボルト、アイアンマンを打ちのめし、止めに入ったアヴェンジャーズを蹴散らした彼は、次の標的であるミスター・ファンタスティックのもとへ向かうのだった…。

ほぼ全編がアクション。JRJRの迫力たっぷりのアートを堪能できる。ひとりひとりのキャラクターの描写が短いながらしっかりしていて、シーハルク、ザ・シング、それにリック・ジョーンズのエピソードが心に残った。セントリーが立ち上がらない理由がいまひとつわからないのだけど、何かを読み落としているのだろうか?