メイン

2008年06月02日

The Incredible Hurcules #113-115

“ハルク戦争”に関与した結果、合衆国政府から追われる身になったハーキュリーズ。この機会に彼を葬り去ろうと企んだ不仲の兄、アレスは、半神半人に猛毒として働くヒュドラの血液を注入する。しかし、アレスは計算違いをしていた。九頭の大蛇の毒といえども不死身のハーキュリーズを絶命させるまでの効果はないのだ。ただ、身体を裂くようなすさまじい苦痛をいつまでも与えるだけなのだ…。

おもしろかった。プロット自体は大山鳴動して式のよくあるものだが、キャラクター描写がいい。身体が頑丈な男たちの殴り合いは見ていて楽しいし、ダークサイドに落ちかけたアマデウスを救うためつらい過去を明かすくだりも真情が感じられる。しかしナターシャ姉さんはすごい人だね。バッキーからハーキュリーズまでという男性関係の幅の広さは空前絶後では。いつか暴露本を書いてほしいものだ。

2008年05月09日

The Order #8

同時多発攻撃を受け分断されたジ・オーダー。ストリート・チルドレン時代の仲間たちに拉致されたマルホランドは、軍関係者と思われる男たちがひしめく謎の施設に監禁される。薄気味悪いことに、彼らはみな同じ顔なのだ! そのころベッキーとミロも砂漠地帯で同じ顔の男と戦っていた。悪条件のなか奮闘したふたりだったが、まもなく限界が近づこうとしていた…。

おもしろい。この事件の背景にも冷戦下の抑圧的な体制があった。いま多くのクリエイターが当時と現在を対比させようとしているようだ(この現象が起きているのはコミックだけだと思う)。マルホランドのかつての仲間が彼女に拷問を加えながらいう“Why should the only super-powers be jacked-up cop pigs looking to boss the rest of us around”というセリフが印象的。読者の多くが、ここで“ジ・オーダーのメンバーたちはスーパーパワーがあるというだけでヒーローになれたわけじゃないぞ”と叫ぶことだろう。装いはフリーキーだが、じつはまっとうな少年漫画だと思う。

2008年04月27日

The Order #7

“人間の侵略に対する自衛行為”としてカリフォルニア沿岸の海面を数百メートルせり上げるネイモア。パニックに陥った人々を安全に避難させるため、ジ・オーダーのメンバーたちは懸命に活動する。そして彼らのリーダー、ヘンリー・ヘルラングは、ネイモアとの1対1の交渉に臨むのだった。誇り高く人間を対等な存在として認めない男との…。

Matt Fractionの特徴が現われたお話。彼は人間を小さな存在としてとらえ、そんな人間がもがきあがくさまに美しさを見出すのだと思う。読みながら“「2000AD」には掲載を断られるだろうな”などと漠然と考えた。人物描写はとても魅力的。みな能力はフリーキーだが内面はオーディナリーすぎるほどオーディナリーだ。パニックに陥った街、密室での交渉、ネイモアの過去の3シーンが交差する構成もよく考えられていていい。

2008年04月25日

Spider-Man: With Great Power... #1-2

サイエンス・ギークの高校生、ピーター・パーカー。ジョックスにいいようにからかわれるフラストレーションの多い毎日を送っていた彼に、文字どおり生まれ変わるような出来事が起こる。原子力実験見学中、放射線を浴びたクモに噛まれたことから、遺伝子が変異し、クモの能力を得たのだ。“これを機会にルーザーから脱したい。それにはお金が必要だ”そう考えたピーターは、覆面レスラー“スパイダーマン”としてマット界に飛び込むのだった…。

David Lapham/Tony Harrisによるオリジン・リトールド。お話はいまのところ平凡。“「Amazing Fantasy」#15は本当によくできていたんだな”というのが正直な感想だ。クラスメイトがパーティの話で盛り上がっているところに科学実験がどうこうと割り込むKYなピーター。毎朝彼の肩や腕を触り、成長を確かめて喜ぶベン叔父さん(このひとコマで彼の人物像がわかる)。こういう気配りが行き届いていたオリジナルとくらべると、ステロタイプなキャラクター解釈が目につき、残念ながら薄さを感じてしまう。次号あたりでお話が大きく動くと思われるので、挽回を期待したい。

2008年04月23日

Daredevil #104-105

“Without Fear: Part 5-6”

ミスター・フィアの奸計により殺人容疑を課せられたミラ。彼女を救うには、フィアを取り押さえ、その所業を告白させるしかない。そう決意したマットは、フィアの部下のひとり、オックスを拉致監禁し、激しい拷問を加える。しかし、その間にも、フィアの計画は最終段階へ達しつつあった…。

思わずため息をつきたくなるような展開。読み終えたあと、「Catwoman: Relentless」との共通点がいくつもあることに気づく。そういえばあのお話でも、セリーナの妹の身に二度と取り返しのつかないことが起きた。陰惨で無残な物語だが、ところどころに宝石のような美しさも。とくに終幕のマットのつぶやき、“without fear”を否定する正直な言葉には心打たれた。ミスター・フィアの恐怖ガスを強靭な精神力で克服した男に、なおも恐ろしいことがあるというのだから。

2008年04月22日

Captain America #34-35

“The Death of Captain America Act 2 - The Burden of Dreams: Part 4-5”

スティーヴの遺志を継ぎキャプテン・アメリカの衣装を身にまとったバッキー。しかし、活動開始そうそう、彼はたいへんな困難に見舞われる。レッドスカルの暗躍により、アメリカの人々は不安に駆られ、経済的混乱、社会的緊張が臨界点に達したのだ。そして、群集が政府に抗議しようとホワイトハウスに詰め掛けたとき、悲劇は起こった…。

胸の痛む展開。ことあるごとに“スティーヴだったらどうするだろう”と考えずにはいられないバッキー。彼とともに、読者もスティーヴの不在をあらためてかみしめ、自問自答せざるを得ない。レッドスカルの計画が周到で完璧に見えることも、重苦しい空気を生んでいる。スティーヴと異なり、バッキーには同志と呼べる仲間がいないのもつらいところだ。いったいどうすればこの状況を変えられるのか。いまバッキーが背中に感じている重みはそうとうなものだろう。

2008年04月21日

Silver Surfer: In Thy Name #4

万人が調和して暮らす理想郷、アマ連邦。それはまったくの偽りだった。支配民族と被支配民族が厳然と隔てられた抑圧的な社会が、連邦の真の姿だったのだ。醜い現実に憤りを感じたシルヴァーサーファーは、ギャラクタスを召還し連邦を破滅の瀬戸際に追い込むことで両民族に和解を迫るという、暴挙ともいえる手段に訴えるのだった…。

ううむ。はっきり書こう。僕はこの物語の主張にまったく賛同できない。だいたい自然界の生存競争と人間同士の搾取・被搾取を同列にできるものだろうか。ラストにいたってはふざけるなといいたい。その美しい光の中でどれほどの命が失われているか、無自覚だとはいわせない。Tan Eng Huatの絵はすばらしく、ギャラクタスの崩壊のシーンなどいきをのむほどだが。

2008年04月16日

Young Avengers Presents #1

第二次世界大戦中、合衆国陸軍の超人兵士計画の一員だった祖父を持つ少年、イーライ・ブラッドレイ。若きヒーロー“パトリオット(愛国者)”として活躍する彼だったが、その一方でさまざまな問題を抱えた現在のアメリカ社会のありようには疑問を感じざるを得なかった。その迷いは、キャプテン・アメリカ、スティーヴ・ロジャースの死後、ますます膨れ上がるのだった。そんなある日、彼はキャプテン・アメリカのパートナーだったバッキーが祖父を訪ねに来たことを知る。“バッキーはいまのアメリカをどう思っているのか?”それを確かめようと、イーライはバッキーの後を追うのだった…。

若い読者を意識したのだろうか? Ed Brubakerのスクリプトはいつもよりストレート。衒いや韜晦のない彼もなかなかいい。“America is an idea”というセリフには考えされられた(“the idea”ではないのに注意)。余計な気を回してケイトとバッキーの間に予防線を引こうとするイーライがかわいらしい。Paco Mediaってこんなにいいアーティストだったっけ? ていねいな描写が好印象。

2008年04月14日

X-men: First Class #6-7

突然特殊能力を失ったXメン。ミュータントに影響を及ぼす小型彗星が近くに墜落したのだ。タイミングの悪いことに、そのとき、センチネルの大群が学園に近づいていた…。

佳作。空を覆い尽くすセンチネルの圧迫感。その1体を機転で破壊するスコットの頼もしいこと。後半、能力を取り戻したXメンが大活躍する場面はカタルシスたっぷり。キャラクター描写もよく、能力を失ったさいのスコットとウォーレンの対照的な反応が印象的だ。#6はジーンとワンダの交流を描いた短編を併載。こういう内容のアートをCollenn Cooverに発注するということは、編集者か誰かが例のあれを読んでいるのだろう。

2008年04月12日

X-men: First Class #10

連続失踪事件の発生。ミュータントの関与を察知したエグゼビア教授は、さっそく教え子たちを現場の廃鉱へ送ろうとする。ところが、直前に行われたカリブ海での任務の影響で、Xメンの大部分は体調不良に。やむなく、今回はスコットがひとりで対応することになるのだった…。

平凡。物語の都合上、この作品の最大の魅力、若きXメンたちの交流がほとんど描かれないのだ(制作チームもこのことは意識しているようで、そのぶん冒頭の体調不良シーンはサービスたっぷり。下ネタすれすれで楽しませてくれる)。ひとりぼっちが似合うところなどじつにスコットらしい、という点は良いのだが。