メイン

2008年05月12日

Gyakushu! Vol.1

暴君の圧制におおぜいの人々が苦しむ国。辺境の森深くの居酒屋に全身を包帯に覆われた謎の男が現れ、狼藉者の片腕を切り落として見せる。長刀と半月鎌を操るこの男はかつて有名な盗賊だった。そして、現在の皇帝の秘宝に手を出したかどで妻子を惨殺され、自らも磔刑に処されるという過去を背負っていた…。

たいへん魅力的な設定だが、残念ながら内容はいまひとつ。思い入れたっぷりのナレーションはかえって没入のじゃま。絵も硬い。日本の読者にとっては漫画を消化しきれいていないのがとても気になる。たとえば中ボス戦の直前にザコの大群を相手にするのだが、ここで死屍累々の光景をバーンと見開きで入れるのが当然だろう。繰り返しになるが、設定が魅力的なだけに惜しい。次号以降の挽回に期待したい。

2008年05月03日

King City Vol.1

3年にわたる放浪の旅を終え、ひとりの青年が大都会キングシティへ戻ってくる。彼の名前はジョー。放浪をつうじて“ネコ使い”の技をマスターした彼に、地下数百メートルの地点に建設された秘密施設から鍵を盗み出してほしいという依頼が入る。愛猫アースリングとともに鮮やかな手腕で仕事を片付けるジョー。しかし、この依頼の裏には大きな陰謀があった…。

Brandon Graham、待望の新作。彼らしいボヘミアン色の濃い犯罪ロマンスだ。読みながら「北京の秋」を何度か思い出した。序盤は物語の流れがゆるやかなこともありいくぶん退屈だが、友人のピートが人身売買組織とかかわるあたりから緊張感が高まり、がぜんおもしろくなっていく。ピートが両生人の少女を組織に引き渡すくだりの哀切さは忘れ難い。なにより楽しいのは、あるときは道具に、あるときは怪物に変化するネコ使いのアイデア。最初のうちは「死んだ猫の101の利用法」ふうの冗談のような変身ばかりだが、“グリーンランターンを意識した”という作者の言葉どおり、クライマックスには胸のすくような大活躍を見せてくれる。そして元恋人、アナの危機に自らを捨てて駆け寄るジョーのかっこいいこと。未成年(16歳以上)向けのためセックス描写がおとなしいのは残念だがぐっとがまん。続巻がとても楽しみだ。

2007年10月23日

My Dead Girlfriend #1

少し斜に構えたところがあるものの、素直で心優しい少年、ファイネイ。ある日、彼はジェニーというかわいらしい少女と出会う。一日夢中になって遊園地で遊んだあと、翌日にまた会う約束をして別れた二人。しかし、それからジェニーは二度と現れなかった…。

「Action Comics Annual」で少年時代のクラークを印象的に描いたEric Wightのオリジナル。巻末ピンナップにMike Allred、Dan Breretonといったオルタネイティヴ系アーティストが招かれていることに、まず“おや?”と思う。内容はすばらしい。亡霊との幼い恋愛という着想が魅力的だし、構成も非常によくできている。少年が父親の亡霊と語り合うくだりでは、しゅんとしてしまった。2008年春に刊行が予定されている次号が楽しみだ。

2006年04月26日

East Coast Rising Vol.1

大洪水により主要都市が水没し文明が衰退した近未来。商船乗船中海賊の襲撃に遭い、ひとりの少年が海へ投げ出される。沖合いを漂流していた彼を救ったのは、米国東海岸一の快速艇“ラ・ベランチャ”を操る正義の海賊、キャノンボール・ジョーだった!!

俊英Becky Cloonan、待望のオリジナル。痛快な海洋冒険活劇だ。宝の地図の奪い合い、海の怪物との戦いといったお約束の要素も、彼女の手にかかると実に新鮮。一部、表現が未熟で分かりにくい部分もあるが、ここは意欲を買いたい。第2巻も期待大だ。

amazon.co.jp