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2008年04月14日

Ubu Bubu #1

幼い兄妹のもとにやってきたかわいらしい子猫、ウブ。ところが、この子には人類殲滅をたくらむ悪魔、ブブが憑依していた! ウブを救おうと懸命な努力をする兄妹をよそに、着々と大殺戮の準備を進めるブブ。そのかたわらで、幸せそうに昼寝をするウブだった…。

Jamie Smartの新作。彼らしいスラップスティック・ゴス・コメディだ。きつい描写もあるが、毒気はほどほどで楽しく読める。ブブのオリジンがなぜか日本だったり、おかしな英語を口走りながらはしゃぎまくる日本人の女の子が登場したりするのも興味深い。

2007年11月24日

Chimney 25

クリスマスを間近にひかえた夜、猫の亡霊と記憶を喪失した怪物の亡霊が街角で出会う。怪物の亡霊の正体はサンタクロースに違いないと信じ、猫の亡霊は彼を巨大なサンタクロースのバルーンが飾られたショッピングモールに案内する。それは惨劇のはじまりだった…。

クリスマスを題材としたFScの作品集。3年前に刊行された作品だが、今回読み返してみてやっとお話がわかった(苦笑)。ストーリー自体はそれほど特異ではないが、構成上非常にだいたんな省略がなされていて、それを想像力で補うことが要求されるのだ。どの作品でも人がばたばた死ぬが、命のはかなさよりもむしろつまらなさが印象に残る。FScのダークサイド全開の作品だといえると思う。

2007年11月13日

Biff Bam Pow! #1

世紀のボクシング・タイトルマッチ。チャンピオンは重量級7階級制覇の怪物。たいする挑戦者はスキニーなユダヤ人女性。とはいえあなどることなかれ。彼女ほど勝負度胸があり、クレバーでタフなボクサーはそういないのだから…。

Evan Dorkin/Sarah Dyerの短編集。内容は古き良きヒーローもの。「Milk & Cheese」「Dork」の毒はないが、楽しく読める。絵もうまい。女の子がタツノコ・アニメっぽいような気がするんだけど、どうかな。

2007年11月12日

Jellyfist

Jhonen Vasquez/Jenny Goldbergによる小話集。内容は悪趣味そのもので紹介するのもためらわれるが、1つだけ。

ひとりさみしくマスターベーションにふける中年男。ある夜、床に飛び散った精液を目にして、彼は思わず青ざめる。精液の形が、亡き母のシルエットにそっくりだったのだ…。

中身は下品だが、造本は不釣合いなほど上品。とても細やかな気配りがされていて、そのギャップにおかしみを感じるほど。もしかすると、Jhonenは自分の創作活動自体を一種のジョークととらえているのではないだろうか。JtHMやZimの神格化は本人には不本意なことなのでは。そうだとすれば、彼がときおり奇行に走るのも理解できる…。的外れかもしえないが、そんなことを考えた。

2007年08月10日

Midnight Sun #3

飛行船イタリア号の遭難から5週間が経過した。墜落地点が陸地ではなく氷塊であることが判明し、海上を漂流していることが明らかになるにおよんで、生き残りの乗組員たちはとうとう分裂する。無線機の機能回復に望みをつないで氷塊にとどまる者と、徒歩で陸地を目指す者に。いずれにせよ、彼らに残された時間は尽きようとしていた…。

つかのまでも猛暑を忘れようとこの本を選択。飢えのつらさが繰り返し述べられるのに対し、寒さの恐ろしさがほとんど描かれていないのは物足りない。厳しい寒さが人間の身体にどれほどダメージを与えるか、作者はあまりわかっていないのではないだろうか。一部の生存者が捜索隊に見殺しにされるくだりはとてもいい。絶望、残酷さというものが胸に残る。

2007年07月28日

Lenore #13

どういう間違いか、レノーアのもとに普通の子の誕生日パーティ招待状が届いてしまう。人の誕生日にお呼ばれされるのなんて初めて。友だちのラガマフィン、ウィケットと一緒に、レノーアは意気込んでパーティに乗り込むのでした…。

まさに抱腹絶倒。シリーズ初期を思わせる残酷だけど無邪気なギャグの連打連打。病院の待合室で読んでいて、吹き出しそうになるのをこらえるのがたいへんだった。ギャグのネタもお下劣あり知的ボケありコミックギークの自虐ありと豊富で、まったく飽きさせない。後書きによると、Roman Dirgeは今後この作品を年2回程度刊行したいと考えているとのこと。当てにしないで待っているので、ひとつよろしく。

2007年03月02日

Midnight Sun #2

飛行船イタリア号の遭難。北極圏に放り出された6人の乗組員たちは、生きるため、懸命な努力を始める。残骸のなかからなんとかテントと無線機を探し出したものの、確保できた食料はごくわずかだった…。

おもしろい。ひたひたと忍び寄る絶望感がたまらない。史実では数人が助かっているが、この作品ではどうなるだろう。とくに隊長の飼い犬の運命が気になる。絵もいい。余白を生かした構図が、恐怖感を煽り立ててくれる。

2006年04月22日

Marlene

猟奇的な殺人事件の発生。捜査には警察きっての敏腕刑事が投入される。やがて、被害者はある女性のストーカーだったことが判明する。しかし、刑事はこの女性と関係を結んでしまうのだった…。

デンマークの漫画家、Peter Snejbjergのグロティスク、エロティックなホラー/デテクティヴもの。1998年に本国で発表された作品の英語版だ。お話も悪くないが、とりわけ絵がすばらしい。ひとつひとつのコマの中に、空間があり、光と影がある。情事のきっかけとなる夜のカフェのシーンをはじめ、コマ割りも見事だ。

2006年03月18日

Malinky Robot: Bicycle

都会のゴミ集積場に暮らす二人(正確には一人と一匹)のホームレスの少年。ある日二人は、盗んだ自転車に乗り、郊外へ引っ越した友人を訪ねる。そしてハンバーガーショップに落ち着き、他愛もない話をしながら一日をすごすのだった…。

Sonny Liewのひさびさの新作。少年が物乞いをしながら「リンゴの唄」を口ずさむのに驚く。中国系マレーシア人の彼が、終戦直後の日本の戦災孤児についてリサーチしたのだろうか。ろくなものなど食べていないはずなのに、お金を拾ったあと、二人で巨大ロボット映画を見に行くのには泣けた。最後の場面の詩も心にしみる。

Malinky Robot: BicycleMalinky Robot: Bicycle

2006年02月26日

Lenore #12

冥界の軍勢の侵攻を受け、世界は大変な危機に直面する。ところがレノーアはいつもの調子。芝生の上にシートを広げ、お茶とマフィンをいただくのでした…。

わはははは。いつもマイペース、残酷で無邪気なレノーアが最高。“彼女は10歳の女の子なんだよ”“10歳のまま何十年も過ごしてきたわけだが”には大笑い。Roman Dirgeの絵もますます良い。ドイツ軍の正確な描写に感心。次の号までまた長く待たされるだろうし、日本では入手に苦労させられるだろうが、いつまでも読み続けたい。

Lenore #12Lenore #12