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2007年12月17日

Courtney Crumrin and the Fire Thief's Tale

アロイシウス教授とともに東欧旅行に出たコートニー。その途中、教授はルーマニアの辺境に住む旧友を訪ねることに。その地には、いまなお人狼伝説が息づいていた…。

格調高い名品。スクリプト、アートともすばらしい。ただし、読後感は非常に重い。魔女への道を歩んでいるコートニーにとって、成長とは心をフリーズドライすることなのだろうか? もしもそうだとすると、彼女をこの旅に連れ出した教授が恨めしい。“Coven of Mistics”での魔物との別れがコートニーにこれほどの影を落としていたとは。人狼の青年を愛してしまった女性との森の中での会話が心に残る。ラストでコートニーが流す涙は、冷たい言葉とは裏腹に、彼女が二人の幸福を本当に望んでいたことの現われなのだろう。

2007年12月10日

Local #8

レストランのウェイトレスとして働く女性。恋人の荒んだ暮らしぶりに一抹の不安を感じていたころ、彼女に好意を抱く中年男性が現れる。リッチで紳士的なこの男性に、彼女も少しずつ引かれ始めるのだが…。

ううむ。作者の言いたいことはわかるが。主人公が恋人のどこにひかれているのかがさっぱり描かれていないため、クライマックスの心変わりがひどく唐突に感じられる。意地悪な言い方をすれば、これではダメ男にとって都合のいい女にすぎない。きみ、苦労すると思うよ。余計なお世話だけどさ。

2007年12月09日

Local #7

アリゾナ州在住の高校生。地方都市の平穏な暮らしは彼にとって退屈そのもの。やるせなさを飲酒と暴力に紛らわせる彼だったが、その無軌道な日々にも終わりが近づいていた…。

ううむ。見知らぬ居酒屋に入ったら常連客がカウンターに居座り自分のダメさ加減をとうとうと語っていた、という感じ。年齢のせいだろうか。青臭い主人公に共感することは、僕にはできなかった。

2007年09月09日

Local #10

まだ明るいうちから酒をあおる男。その日の朝、母が亡くなったのだ。父が死去してから、何かと折り合いの悪かった(少なくとも男はそう感じていた)母だったが…。

重い読後感を残す作品。お話はまあよくあるパターンだが、回想シーンの母のある言葉が耳に痛い。肉親に対して愚かな振る舞いをした覚えがある者は身につまされるだろう。ホームレスの申し出を断る場面は出色。こういう小技はうまいね、Brian Woodは。Ryan Kellyの絵はいい。男の荒んだ心情がよく描かれている。

2007年09月05日

Multiple Warheads #1

どこか遠い宇宙で繰り広げられている人狼と異星人の戦争の煽りを受け、戦災に脅かされる都市、デッド・シティ。この街で臓器売買を生業とする女性、セクシアには、ひとつの夢があった。いつか資金が十分に貯まったら、恋人の人狼、ニコリとともに、平和に暮らせるところへ移るという夢が…。

9・11後の米国社会への違和感を表明した作品のひとつ。“人狼と異星人の戦争? 他人事を気取るんじゃないよ”と言いたい気もするが、戦争など関わりたくないという気持ちも理解できる。街に降り積もる雪のひとかけらひとかけらに意味があるというくだりは忘れ難い。この雪はWTC崩壊時に発生した灰の比喩なのだろう。そのなかには人間の遺灰が含まれていたかもしれないのだ。中盤に挿入される恋人同士のセックス・シーンが甘美でいい。作者のBrandon Grahamはポルノ・コミックも手がけているようだ。機会があればそちらも読んでみたい。

2006年07月06日

Local #5

映画館のチケットブースに座る女性。彼女の引き出しにはいくつもの名札がしまわれていた。そして、ある日はジュリア、ある日はスージというように、彼女は気ままに名札をつけかえ、それぞれ別人として他人に接していた…。

おおっ、今回はおもしろい。たしかに、たとえ言葉を交わすことがあっても、チケットブース担当の顔なんていちいち憶えないよなあ。希薄な人間関係を逆手にとって遊んだ彼女。たしかにほめられた行いではないけど、遊びたくなった気持ちはわかるような気がする。

2006年05月19日

Polly and the Pirates #5

伝説のパイレート・クイーンの財宝を巡る争奪戦に巻き込まれた女の子、ポリー。人間の海賊、ドワーフの海賊、さらに軍を巻き込んだ三つ巴の争いの果てに、宝島の洞窟でポリーが見たものは?

愉快な海洋アドベンチャー。冒険を重ねてすっかりたくましくなったポリー。“いい腕だ。どこで剣を覚えた”“学芸会で三銃士を演じたのよ”というやり取りに大笑い。墨の濃淡で陰影を表現する手法は、アメコミでは珍しい。研究熱心だなあ、Ted Naifehは。

Polly and the Pirates #5Polly and the Pirates #5

2006年05月07日

Stragetown #1

嵐のあと海岸に打ち上げられていた一人の少女。親切な養母と出会い、彼女は普通に成長する。それから数年。養母の死を機に、彼女は町へ出て一人暮しを始めることになる。しかし彼女には、自分自身も知らない秘密があった…。

Chynna Clugston/Ian Shaughnessy(Oni Pressの元スタッフらしい)によるミステリー。ラブコメを専門にしていたChynnaにはチャレンジだといえる。しかし、現在のところは「Queen Bee」の彼女のほうがはるかにいきいきしていて魅力的だ。今後の巻き返しを期待したい。

Stragetown #1Stragetown #1

2006年04月15日

Local #4

春まだ浅いモンタナ州ミゾーラへやって来た、一人の中年男。彼の目的は弟との数年ぶりの再会。その手には父親の遺言状と、一丁の拳銃が握られていた…。

運命の歯車が狂っていくようすを描いた作品。残念ながらお話の組み立てがいまひとつ。この兄は自ら破滅へ向かっているようにしか見えない。暴力描写も含め、Ryan Kellyの絵は良いのだが。

Local #4Local #4

2006年03月19日

Days Like This

1960年代のお話。歌うことが大好きな3人の女子高生。高校のタレント・ショーへの出演をきっかけに新興レーベルと契約を結んだ彼女たちは、家族の反対をはじめいくつかの問題に直面しながらも、スターになるという夢の実現へ向かって着実に歩みだすのだった…。

J. Torres/Scott Chantlerによるグラフィック・ノヴェル。良く言えば誰もが安心して読める、悪く言えば毒にも薬にもならないお話。米国図書館協会選定という冠が、この作品の性格を良く表していると思う。