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2008年06月18日

Invincible #48-49

ヒーローたちへの同時多発攻撃の発生。救出に向かったマークもまた強力な反撃に遭いダウンを余儀なくされる。この非常事態に合衆国政府が動員したのは、なんと、かつてマークの友人を傷つけたヴィランだった。政府は一部の悪人たちをエージェントとして雇用していたのだ。人一倍正義感の強いマークにとって、それは信じられないことだった…。

とうとうこのときが来たか。いつかマークが政府やほかのヒーローたちと一線を引くのは予想していたけど、無慈悲で圧倒的な戦闘力を持つウィルトゥルマイトに対して単身立ち向かうことになるのかと思うと気が重い。それとも父や弟と共に戦うチャンスがあるだろうか?Robert Kirkmanキャラクターに加え、サヴェッジ・ドラゴン、ダイナモ5といったイメージ・ユニバースのヒーローたちがゲスト出演しているのはうれしい(サヴェッジ・ドラゴンの娘がヒーロー活動を始めていたのは知らなかった)。

Dynamo 5 #11-12

メンバーのひとり、リーヴィーの父が何者かに拉致される。マディーの制止を振り切り、救出に向かうダイナモ5。ところが、彼らが出撃し無防備状態となった基地をウィドウメイカー率いるヴィランたちが襲撃する。単身取り残されたマディーは抵抗を試みるが…。

快調。若きヒーローたちの活躍を目にするのは単純に楽しい。ヒキの連続はいかにも連載マンガ。毎回毎回、最終ページで“これからどうなるんだろう?”とはらはらさせてくれる。スーパーヒーローの不倫の結果生まれた子どもたちという斜に構えた設定だが、じつはストレートなヒーローチームものだ。

2008年05月28日

Dark Ivory #1

ゴス女子大生、アイヴォリー。感謝祭の夜、クラブに踊りにでかけた彼女は、恐ろしい光景を目撃してしまう。ひとりの女性が何者かに首を切られ大量に血を流していたのだ。被害者によると、それは吸血鬼の仕業だという。夜遊びを早めに切り上げ帰宅しようとするアイヴォリーだったが、あいにくその日は祝日。公共交通機関はすでに営業を終えていた…。

Josep Michael Linsner、ひさびさの新作。ピンナップアートふうの絵柄とは対照的に観念先行型の作品が多かった彼だが、今作ではとてもいきいきとしたダイアローグを書いている。文学志望の青年(姉の元彼)とのくだりなど、説明臭を感じさせずにキャラクター像を伝えることに成功していて、失礼ながら“この人、こんなにうまかったっけ?”と思ったほど。なるほど、家族そろって七面鳥をいただく感謝祭はゴスの価値観には合わないものなのか。こういう感覚面にはまだまだわからないことがいっぱいあるなあ。絵はいつもどおりといえばいつもどおりだが、キャラクターに生気があるぶん魅力も増している。次号も楽しみだ。

2008年05月24日

The Perhapanouts #1

われわれの世界を守るため、異世界からの侵入者を捕捉・送還するエージェントたち、パーハパノーツ。任務遂行のため蛾族の協力を仰いだ彼らに、トラブルが降りかかる。蛾族の領域に彼らを入れたことを罪に問われ、協力者が制裁を受けてしまうのだ。友人でもある協力者を助けるため、パーハパノーツは蛾族世界深部に侵入するのだった…。

前シリーズを読んでいないためだろうか。最初は設定をうまくのみこめず、数回読み返した。なるほど、作者たちは「B.P.R.D.」のファンなのか。それと比べると、物語はミステリー要素減/アドベンチャー要素増、キャラクターはフリーキーさ減/華やかさ増という感じ。死地に落とされてもまったく動揺しないチュパキャブラのチョッピーくんがいい。

2008年05月16日

Invincible Presents Atom Eve #2

軍の極秘プロジェクトのもと兵器として作られた少女、イヴ。自分の超能力をひとびとに役立てたいという純粋な思いからヒーロー活動を開始した彼女だったが、実父(元プロジェクトの主任研究員)の警告どおり、すぐに軍の関心をひいてしまう。イヴ捕獲作戦発動。その実行部隊は、彼女の弟妹たちだった…。

Robert Kirkmanユニバースをいろどるキャラクターのひとり、“アトム・イヴ”のオリジン・ストーリー。ふだんハッピー・ゴー・ラッキーな彼女にこれほどすさまじい過去があったとは。彼女の実母が姿を見せる場面では、あまりの悲惨さに目を伏せたくなったほどだ。クライマックス、怒りにもえたイヴが放つ超能力もすごい。もしかすると、彼女がウィルトゥルマイト人との戦いの行方を左右するのかもしれない。やりきれなさとカタルシスが入り混じった物語作りにStephen Kingの影響があるような気がする。

2008年04月14日

Glister #3

グリスターが赤ん坊だったころ、吹雪のなかに消えた母。何年間も消息不明だった彼女が、ある夜、グリスターの鏡に映る。母が魔物の国に捕らわれていることを知ったグリスターは、危険をかえりみず、人間の地と魔物の地の境界線を越えるのだった…。

傑作。物語自体はオルフェウス伝説×「雪の女王」といった趣で展開もおおむね読めてしまうが、グリスターのひたむきさには心打たれる。とりわけ“鳥”のくだりは感動的。読み終えたあと、この母娘がふたたび語り合える日が来ることを願わずにはいられなかった。

2007年12月31日

Invincible #46-47

ヒーロー活動に従事しながらヴィルトゥルマイト人の侵攻に備えた訓練に励むマイク。私生活上のトラブル、新たな敵の出現などさまざまな問題が持ち上がるなか、義弟オリヴァーの能力覚醒といううれしい出来事も起こる。しかし、彼はまだ気づいていなかった。信頼している連邦エージェントが、秘密裏にある計画を進めていることに…。

いい。ささいな出来事の積み重ねが人々に影響していく、リアリティ感あるスクリプト。#47のオリヴァーの台詞、“Which one do you think is the real version of our father?”に考え込む。強靭な身体と明晰な頭脳、確固たる意志を持つヴィルトゥルマイト人に欠けているものは何か。独善は善ではない、ということなのかなあ。毎回書いているが、英語の表現もおもしろい。しかし、このままではいつかオリヴァーがマイクを追い越し、先に老衰してしまうのでは。いまはまだ接点がないが、幼児化を恐れるアマンダとは対照的だ。

2007年12月12日

Crawl Space: XXXombies #1

ロサンゼルス市街地に国際線旅客機が墜落する。しかしそれは惨劇の始まりにすぎなかった。乗客のなかにゾンビがいたのだ。被害が拡大し、街がパニックに陥っていたころ、郊外のある邸宅ではポルノフィルムの撮影が行われていた…。

わはは。冒頭3ページで数百人が死亡するという景気のいい展開。そのうち2人はジョイントでラリったボンクラだし。清楚なヒロインは新人ポルノ女優、まわりの人間は1人を例外としてクズばかり。良く練られた設定だ。タフな親父殿も頼もしい。Kieron Dwyerの絵もさえている。楽しみなリミテッド・シリーズだ。

2007年12月11日

Sorrow #2

気ままな旅の途中、地図にも記載されていない寂れた集落に迷い込んだ男女4人。住民たちにロッジをあてがわれほっとしたのもつかの間、仲間のひとりが突然恋人に襲いかかる。集落の入口で交通事故を起こした際、彼はすでに死亡し、モンスターと化していたのだ…。

よくあるパターンのお話だが、テンポがよくなかなか楽しめる。腹をナイフで刺すのではなく頬をガラスの破片で撫でるような、隠微な加害趣味にぞくぞく。おちびさんだがハートはタフなヒロインが新鮮でいい。

2007年12月01日

Parade (with Fireworks) #2

戦間期のイタリア南部。全体主義と社会主義の対立が深まっていたころのお話。全体主義陣営が差し向けてきた刺客に兄と従兄を射殺され、とっさに応戦した青年パオロ。誰ひとり傷つけていないというのに、彼は街頭で拳銃を発射した罪を問われてしまう。そのうえ、当時のファシスト政権は彼を有罪にするためなりふりかまわぬ卑劣な手段に出るのだった…。

たいへん興味深い題材だが、漫画としては凡作。事実にとらわれず娯楽性を高めたほうがよかったのでは。一族がたどった苦難の道を描きたい、という作者の思いもわかるのだが。

巻末にMike Wieringoを追悼する文章が掲載されている。スタッフとファンをたいせつにした故人の人柄が偲ばれる内容で、あらためて彼の早すぎる死が惜しまれる。