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2008年05月14日

Young Liars #1

夜の繁華街。路上で大の男ふたりを相手に大立ち回りを演じる若い女。男が拳銃を向けても女はまったくひるむことなく、とことん殴りつけてついには重傷を負わせてしまう。彼女がこのように暴力的・刹那的なのには訳があった。彼女は以前に頭部を銃撃され脳を損傷していたのだ。その銃弾はいまも彼女の脳内にとどまり、少しずつ移動している。銃弾が脳幹に達したとき、彼女の命はつきる。それが2週間後なのか2年後なのかは誰にもわからない…。

日本映画だったら“最後に伝えたかった言葉はありがとう”的なコピーがつけられそうな設定だが、そこはDavid Lapham。冒頭からヒロインに人の鼻を噛み切らせてドン引きさせてくれる。サブキャラクターもろくでなしばかりだ。今回は登場人物紹介といった感じで、物語の行方はまだわからないが、胃がキリキリ痛くなるような犯罪ロマンスを期待したい。

2006年07月19日

Fables #48-50

シベリアの辺境を旅する一人の青年。彼の名はモーグリ。密林で狼とともに育ったあの青年(「ジャングル・ブック」)だ。彼の旅の目的は、ビッグバイ・ウルフ(「赤ずきん」「三匹の子豚」などに登場する狼。この作品では凄腕の保安官)にあるミッションを伝えること。そのころフェイブル・タウンの農場では、白雪姫と子供たちがビッグバイ・ウルフの帰還を待ちわびていた…。

おもしろい。生と死が交錯する過酷な世界の美。ジャック・ロンドンを思い浮かべるのは、少々安易な連想かもしれないが。衣服を脱ぎ捨てて野生の狼と語り合うモーグリは、なんだか嬉しそうだ。ビッグバイ・ウルフと白雪姫の再会シーンは感動的。杖を取りに戻ろうとする白雪姫にかける、ビッグバイ・ウルフの何気ない言葉がいい。こうして二人はいつまでも幸せに…暮らすことはないんだろうなあ、Bill Willinghamのことだから。

2006年04月15日

Fables #46-47

帝国のアラビア侵攻に従軍した木偶人形の兵士と看護婦。やがて愛し合うようになった二人は、互いの思いを確かめたいと願うようになる。しかしそれは、人形の身ではかなわないことだった…。

Bill Willinghamの底意地の悪さが炸裂。兵士たちの人間の悪口(“奴らは1日8時間眠らなきゃ使い物にならないらしいぜ”“メシとやらを1日3、4回食うそうだ”といった具合)や、人間の性愛に関するきわどい冗談に大笑い。Jim Fernのすばらしい絵にため息をつく。しかし、敵のキャラクターをここまでていねいに描くとは。Bill Willinghamの懐の深さには感心させられる。

2006年04月04日

American Virgin #1

アダム・チェンバレン、20歳、独身、童貞。“神の祝福を受けて結婚するまで清い身体でいよう”という彼の主張は、保守層に一定の支持を得ていた。そんな彼の禁欲生活も、婚約者の帰国により終わりを告げるかに思えたのだが…。

Steven T. Seagle/Becky Cloonanという魅力的な顔合わせによる新シリーズ。奇妙な流れになかば首を傾げつつ読んでいたら、終盤に急展開が。はたしてこの報道は事実なのか? 決定的な証拠はないようだが。Beckyの絵は期待どおり。彼女が担当している間は買いだ。

American Virgin #1American Virgin #1

2006年04月01日

DMZ #4

内戦下のニューヨーク。セントラルパークの“亡霊”の取材中、マッティは武装集団に拉致されてしまう。自給自足体制を構築し一帯を支配化に置く彼らは、かつての公園職員たちだった…。

う~ん。あまりにもリアリティがない。こんなことを書くとBrian Woodに怒鳴り込まれかねないが、彼には選良思想があるのではないだろうか。巨大プラント内に広がる竹林、思いつきとしてはおもしろいが、どこかの国の独裁者の“トウモロコシを植えろ”“ウサギを飼え”といった指令を思い浮かべてしまうのは意地の悪い反応だろうか。

2006年03月17日

Fables #42-45

アドヴァーサリーの侵略はついに東洋にも及び、シンドバットをはじめとするアラビアのフェイブルたちが、故郷を追われニューヨークのフェイブルタウンへやって来る。しかし、価値観が異なるばかりか言葉も満足に通じない彼らを、町の指導者たちは持て余すのだった…。

思えば、初期のこのタイトルのコンセプトは“おとぎばなしの登場人物たちが現代社会に暮らしていたら”というものだった。現在のように、僕らが気づいていないもうひとつの世界を描く一種のファンタジーに変わったのは、いつの頃からだろうか。率直に言って、今回の“Arabian Nights (and Days)”はそれほど優れた作品ではないと思う。しかしそれでも、終盤に登場する物語世界のバグダッドの美しさには息を呑まされた。中盤、戦火で荒れ果てた現実のバグダッドの描写をわざわざ挿入していることに注意したい。ところで、考えすぎかもしれないが、Bill Willinghamは“女性は多少気ままなぐらいが可愛らしい”という意見の持ち主なのではないだろうか(笑)

2006年02月25日

DMZ #3

内戦の最前線となり、泥沼のような戦いが続くニューヨーク。兵士たちのいちばんの脅威は、摩天楼を利用した遠距離からの狙撃だった。いま、一人の兵士が精神に異常をきたし、道路の真ん中で訳のわからないことを叫び始める。彼を収容するには、誰かが道路を渡らなければならない。それは、射線を遮るもののない空間に身を晒すことを意味していた…。

“On the Ground”完結。Brian Woodの言いたいことは良くわかる。戦争はクソだ。軍隊はクソだ。兵士はクソだ。そうだろうそうだろう。しかし、漫画としては単調だし、ひとりよがりなところも目につく。彼の一途さが、今回は裏目に出たようだ。

2006年02月05日

Human Target #21

ヒューマン・ターゲット、クリストファー・チャンス。他人の人生を生きることができる男。そんな彼に大きな危機が訪れる。自分自身の人生が、元アシスタントによって奪われたのだ。ふだんは落ち着いて仕事をこなすクリスも、この男が元妻とよろしくしているのを見せられては、冷静ではいられなかった…。

第2シリーズ最終号。クリスにとってはひどい結末だが、おもしろかった。元妻のこういう選択がありうるのか、いろいろな人に聞いてみたい気分だ。短命に終わったこのシリーズだが、内容は充実していた。とくに人身売買を扱った“Crossing Border”の苦い結末はいまも忘れられない。Javier Pulido、Cliff Changの起用も成功だった。いつの日か、続きを読むことができればと思う。

2006年02月03日

Fables #40-41

愛しの赤ずきんを取り戻すため、単身ホームランドへ戻ったボーイ・ブルー。皇帝暗殺に失敗した彼は、ピノキオの生みの親、ゼペットの工房へ連行される。なんということか。魔物の軍勢を差し向けてホームランドを踏みにじり、数え切れないほどの人々を殺害したのは、この老人だった…。

“Homelands”完結。魔物に捕えられ、木偶兵士作りを強制されているゼペット翁の姿を想像していただけに、この展開は驚きだった。さらに赤ずきんの真実が明かされると、なんともやるせない気持ちに。一見気丈に振る舞うボーイ・ブルーの、最後のせりふにはシュンとさせられた。Mark Buckinghamの絵はいつにもましてすばらしい。

2006年01月13日

DMZ #2

内戦の最前線と化したニューヨークに取り残された新人ジャーナリスト、マッティ。ジーという女性の案内のもと、彼は戦火のなかで暮らすさまざまな人々を目撃することになるのだった…。

一見ハードなようだが、実はこの世界にはBrian Woodのお気に入りしか存在しない。一種のファンタジーだと考えるほうが良いだろう。手足を失った子供たちの姿はショッキング。しかし、彼らが単なる小道具扱いなのはむしろ不愉快だ。