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2008年05月28日

The Trails of Shazam! #11-12

キャプテン・マーヴルの使命を受け継ぐための試練に挑むフレディ。しかし、悪の魔道士サビーナの猛追にあい、彼は苦境に立たされる。残ったふたつの力、マーキュリーのスピードとゼウスのパワーをなんとしても獲得しなければならない。そこで彼とマーヴル(キャプテン・マーヴルの現在の姿)は善の魔道士たちに助力を求めるのだった…。

まずは“ごくろうさま、フレディ”と声をかけてあげたい。シリーズの当初の構造─現代社会に失望し姿を消した神々を無力な青年が訪ね歩く─は号数を重ねるにつれて霧散してしまったが、そのかわりにサビーナという魅力的なヴィランが生まれたわけで、必ずしも欠点ではないと思う。JLAとシャドウパクトが応援に駆けつけたのもよかった。つまりDCユニバースの太陽と新月がそろってキャプテン・マーヴルの復活を祝福したわけだ。ただ、こういう物言いはフレディに気の毒だが、ビリーがいない喪失感はぬぐえない。できれば最後にふたりが語り合う場面を見たかった。

2008年05月15日

Black Adam: The Dark Age #6

愛妻アイシスをよみがえらせるため、文字どおり世界中を旅したブラックアダムことテスアダム。復活の儀式に必要なアミュレットのかけらをすべて入手し、ドクター・フェイトの塔へ戻る途中、彼はフォーセット・シティを通りかかる。キャプテン・マーヴルのホームタウンに来たことに因縁めいたものを感じ、彼は散策に出かけるのだった…。

リミテッド・シリーズ完結。おもしろかった。封印を解く言葉を発見したあとのブラックアダムの穏やかな表情がよかった。残酷描写もいい。流氷の下に落ち溺れていく兵士を無言でながめる場面は忘れ難い。これは映画でときどき見かける演出だが、もしも「魔術師の恋」からの引用だったらしゃれていていい(「魔術師の恋」は邦題なのでたぶん違うが)。しかしファウストもだいたんだ。ブラックアダムが真相に気づくときのことを考えて恐ろしくならないのだろうか? ならないのだろうな。

2007年12月20日

Black Adam: The Dark Age #4

人間の姿でいるところを謎の傭兵集団に襲われ、テスアダムは瀕死の重傷を負わされてしまう。ブラックアダムに変身し急場をしのいだものの、一刻も早く手当てを施さなければならない。第一、ブラックアダムの姿にとどまることは、愛妻イシスの残り僅かな生命力を削ることにほかならないのだ…。

今回もおもしろい。冒頭、ブラックアダムが幻覚を見るくだりには思わずぞっとした。彼が解体される様を、無数の人々(おそらく戦乱により亡くなったカンダック人たち)が眺めているのだ。残虐描写もいい。傭兵をわしづかみにしたまま大気圏の果てまで上る場面は美しさを感じるほど(無粋な詮索だが、なぜJSAは人工衛星にマイクを取り付けたのだろう?)。それにしても、いったいどのような出来事がテスアダムをここまで冷徹にしたのか。いまさらだが、「52」を読みたくなってきた。

2007年11月19日

The Trials of Shazam! #9

シャザムの力を継ぐ者に課せられる試練。世界の重さに耐えかね自らの命を絶ったアトラスに代わり、アポロに承諾を求めたフレディだったが、神の身を捨てようとしていた彼の不興を買い、戦いを挑まれてしまう。一般市民に被害が及ぶことを恐れたフレディは、戦いの場を移そうと提案するのだが…。

それなりにおもしろいが、気になる点もいくつか。この物語に登場する神々は、みな失意を抱えている。現代的な解釈というものなのかもしれないが、キャプテン・マーヴルのオリジンにあったまぶしさはもう感じられない。それから、主人公と同等の力を持つ影の存在が必要だというのはよくわかるが、このような成り行きで力を与えてしまうのはどうか。口を開けて寝ていたら天井から餅が降ってきた、というようなものではないか。

2007年11月17日

Black Adam: The Dark Age #3

愛妻イシスを復活させるには、彼女のなきがらをそろえなければならない。それには遺骨だけでは不十分。彼女のアミュレットが絶対に必要なのだ。この情報を得たテスアダムは、現在4つの断片に分かれているアミュレットをたとえどのような犠牲を払っても手に入れようと決心する。その断片の1つは、現在、ホークマンことカーター・ホールのもとに保管されていた…。

いい。妻をよみがえらせるにはブラックアダムのパワーが必要。しかし、ブラックアダムに変身するたびに妻に残されたわずかな生命力が費やされていくという二律背反。“妻を取り戻すことができたら消え去るつもりだ”というセリフは、たんなる隠遁を意味しているのだろうか? 満月の夜空で繰り広げられるホークマンとの戦闘シーンがイマジネイティブ。モーニングスターを握りつぶすのには驚いた。Doug Mankeの絵もすばらしい。テスアダムがややうつむきながらホークマンをにらみつける場面の緊張感が印象的。

2007年10月15日

Black Adam: The Dark Age #2

ヒマラヤ山脈奥地に眠っていた秘法を用いて妻イシスを復活させようとしたテスアダム。しかし、あることが見落とされていたため、この試みは無残な結果に終わる。内心に深い悲しみを抱えながら、テスアダムはほかの方策を探ろうとする。JSAが捜索に動いていることなど、もはや彼には関心外だった…。

冒頭、イシスの復活が失敗に終わる場面は、悲惨でグロテスクだが美しさがある。ヒマラヤを脱出する際の残酷描写のすさまじいこと。そのあとの世界を放浪しながらテスアダムが狂気を宿していくところなど、Doug Mahnkeは最高の仕事をしている。陰惨な描写が続くなか、ワールド・ファイネストをコメディ・リリーフとして使うのがしゃれていていい。読者を選ぶのは確かだが、先が楽しみなリミテッド・シリーズだ。

2007年10月12日

The Trials of Shazam! #8

キャプテン・マーヴルの後継者となるための試練に挑むフレディ。次の目的は、アトラスに認められることだった。しかし、彼に課せられた地上のすべての人々から不幸を遠ざけるという途方もない務めは、その気力と体力を蝕んでいた…。

意表を突く展開。神にああいう行動を選ばせるとは。自由というか奔放というか、枠にはまらない人だ、Judd Winickは。もっとも、フレディにはアトラスの気力体力よりもほかの力がふさわしいと考えたのかもしれない。だとすれば、アトラスの代役を務めようとした彼がすぐに挫折してしまうのも納得できる。急遽訪ねることになったこの神(もちろん頭文字はA)から、フレディは何の力を授かるのだろうか?

2007年10月02日

Black Adam: The Dark Age #1

元ブラックアダム、テスアダム。君主の座を失い、追われる身となり、潜伏生活を送っていた彼は、いま命の危険を冒してカンダックへ進入しようとしていた。復権でも、復讐でもなく、ただ愛する人とふたたびまみえることだけを目指して…。

陰惨。楽しめるものではない。「World War III」を読んでいないため、このような状況に至った経緯がわからないのだが、検問所で語られるブラックアダムを否定する言葉には一面の真実が含まれているのだろうか? この場面でテスアダムが被っている帽子に“NYC”と書かれているのが気になる。戦争への嫌悪感が込められているような気もするが、考えすぎかもしれない。Doug Mahnkeの絵はいつもどおりすばらしい。

2007年08月21日

The Trials of Shazam! #6-7

アキレスに勇気の証を示し頑強な身体を手に入れたフレディ。次の試練はヘラクレスから無尽の力を授かることだ。しかし、シャザムの魔力を求めているのは、彼だけではなかった。アキレスの踵を射た女、サビーナは、魔物側の候補者だったのだ。ついに直接対面したフレディとサビーナは、ヘラクレスに後継者として認められるための戦いに突入するのだった…。

少々ダレ気味。サビーナのオリジンにスポットライトが当てられているが、これが平凡なのだ。幼くして両親を失ったショック、魔物の一員であることを知った悲しみなどが、読者の想像に委ねられているも物足りない。もっと強く訴えかけてほしかった。魅力的なキャラクターだけに残念。失意のヘラクレスが朝青龍に重なって見えるのはたまたまとはいえおもしろかった。

2007年08月19日

The Trials of Shazam! #5

キャプテン・マーヴルの後継者を目指す者に課せられる試練。フレディの次の目的地は中東の砂漠の国だった。いま、戦乱の続くこの地では、人々の憎悪を糧とする魔物が巨大化しつつあった。“シャザム”のひとり、アキレスに勇気を示すため、魔物に戦いを挑むフレディ。しかし、そのとき何者かが放った矢がアキレスのかかとを貫くのだった…。

この作品は10代の少年に向けて書かれているような気がする。正直、物語には穴が多い。しかし、ここでたいせつなのは“勇気ってこういうことだよね?”というJudd Winickの問い掛けに答えることだろう。絶望的な状況のなかで“シャザム”とつぶやくフレディはじつに格好よく、少年期などとうに終えた僕も胸を震わされた。