メイン

2008年05月28日

The Flash #238-239

人々の不安を具現化するヴィラン、スピンの出現。彼を取り押さえようとしたウォリーは、かねてから気に病んでいた失業による生活苦を突かれ、一時的にマインドコントロールされて公衆の面前で盗みを働いてしまう。ほどなく正気に返り謝罪したものの、この信用失墜は痛かった…。

ていねいなストーリーテリングが好印象。失業からくる焦燥感、わかるわかる。スパイダーマンの関係者が読んだら“本当はこういうことがしたかった”と悔しがるのではないだろうか。子育ての不安感もいい。“明日には大人になっているかもしれない”という極端な誇張がおもしろい。絵は微妙。通行人などの描き方を見るとじつはmanga的な方向に行きたいのかも。でも子どもがかわいいのはいい。現在の物語では重要な要素だ。

2008年05月22日

Teen Titans Year One #2-4

人が変わったように粗暴に振る舞いだしたJLAのメンバーたち。5人のサイドキックたち─ロビン、キッド・フラッシュ、アクアラッド、スピーディ、ワンダーガール─は、力を合わせて事件の真相を探ることにする。ロビンの巧みな指揮のもとみごとに連携してフラッシュ、アクアマン、グリーンアロー、ワンダーウーマンの身柄を確保する若きヒーローたち。ところが、最後にひとりを残すところまできて、ロビンは突然態度を変えるのだった。“バットマンは自分ひとりで相手にしたい”と…。

楽しく読む。自分に自信を持てないガースと快活だがいろいろと不満をかかえたウォリーがいい。ディックは健気。ロイどドナはいまのところ内面描写をしてもらえない損な役回りだ。絵は労作。たぶんペンシル+CG彩色(インクなし)だと思うが、とんでもない時間がかかっているはず。その労力は実を結んでいて、カートゥーンふう絵柄のレベルをぐんと上げている。

2008年05月12日

The Flash #237

子どもたちにチームワークのたいせつさを学ばせるためにウォーリーとリンダが立てたプラン。それは宝探しゲームの要領でスーパーマンのケープを入手するというものだった。いくぶん突飛な課題に戸惑いながらも力を合わせてスーパーマンを捜索する子どもたち。ところが、そのときメトロポリスには電撃を駆使するヴィラン、ライヴワイアがいて…。

新展開を迎えるにあたってのインタルード・イッシュー。雪男に雪合戦を挑むというベタさがいい。このように気楽に読めるフラッシュはいつ以来だろう? 教育問題や失業問題を抱えたヒーローというのが目新しいが、キッド・フラッシュ時代からウォーリーに親しんできた読者には年代的に共感できる設定なのかもしれない。Geoff Johnsラン後半以降長いあいだ混迷が続いていたタイトルだが、ようやく光が差してきた感じがする。

2008年05月07日

Justice League: The New Frontier Special #1

1955年。順調な経済発展のもとひとびとが豊かさを享受する一方、東西冷戦を背景とした抑圧的な傾向が強まっていたころ。ゴッサムシティにコウモリの衣装をまとったヴィジランテが登場する。ミステリーメンを取り締まる方針を固めていた合衆国政府は、スーパーマンとワンダーウーマンにこの“バットマン”の逮捕に協力するよう依頼する。ワンダーウーマンはバットマンの行動に理解を示すが…。

アニメーション制作記念特別編。前作「DC: The New Frontier」が親しみやすい絵柄とは裏腹な重たい内容だっただけに覚悟を決めて読み始めたが、今作はわりと普通だった。とはいえ、ラシュモア山のふもとで政府高官に“A city does not make a nation”などと発言させるあたり、Darwyn Cookeらしさは健在。現在主流の解釈とは異なり、バットマンやスーパーマンを素顔、ブルース・ウェインやクラーク・ケントを仮面として描いているのも興味深い。併載されている作品の「理由なき反抗」のジェームズ・ディーンふうディックが新鮮でよかった。

2008年01月10日

Aquaman: Sword of Atlantis #56-57

大地震を発生させ環太平洋全域を水没させるという恐ろしい計画をみごと阻止したアーサー。しかし、その過程で再会した実父から、彼は思いがけない言葉を聞かされる。医療処置の失敗により、彼は死亡したはずだというのだ。やがて、彼と前アクアマン、オーリンとの関係が明らかになるのだった…。

さすがに最後は駆け足になってしまった。サンディエゴ水没事件の経緯とアーサーの過去はいちおう明らかになったものの、未解決の部分も多い。ひとつの街の再開発計画が頓挫し、結果的に廃墟が残った、という感じ。何度も書いているが、この作品に関しては“Crisis”による分断はマイナスだったと思う。John Arcudi期の受難曲のような雰囲気がとても良かっただけに残念だ。

2007年12月25日

Simon Dark #2

連続少女殺人事件の犯人を取り押さえたサイモン。しかし、現場に駆けつけた警官に誤解され、彼は射殺されてしまう。検死官が仮面を外すと、その下から現れたのはせいぜい17、8歳の少年の顔だった…。

なかなかおもしろい。彼は死という安息から拒絶されているのか。“He's just a kid”というセリフが2回繰り返されるのが印象的。敵も不気味でいい。「サイボーグ007」のブラックゴースト団、「仮面ライダー」のショッカーのように、サイモンの誕生には彼らがからんでいるようだ。#1から気になっていたのだが、警察の立ち入り禁止テープを直線で描いているのはなぜだろう。犯行現場を一種の異界としてとらえ、意図的に違和感を醸し出しているのだろうか?

2007年12月20日

Black Adam: The Dark Age #4

人間の姿でいるところを謎の傭兵集団に襲われ、テスアダムは瀕死の重傷を負わされてしまう。ブラックアダムに変身し急場をしのいだものの、一刻も早く手当てを施さなければならない。第一、ブラックアダムの姿にとどまることは、愛妻イシスの残り僅かな生命力を削ることにほかならないのだ…。

今回もおもしろい。冒頭、ブラックアダムが幻覚を見るくだりには思わずぞっとした。彼が解体される様を、無数の人々(おそらく戦乱により亡くなったカンダック人たち)が眺めているのだ。残虐描写もいい。傭兵をわしづかみにしたまま大気圏の果てまで上る場面は美しさを感じるほど(無粋な詮索だが、なぜJSAは人工衛星にマイクを取り付けたのだろう?)。それにしても、いったいどのような出来事がテスアダムをここまで冷徹にしたのか。いまさらだが、「52」を読みたくなってきた。

2007年12月15日

Batman #667-669

世界各地のクライムファイターの集い、“クラブ・オブ・ヒーローズ”に招かれたブルースとティム。しかし、黒手袋と名乗る謎の組織により、クラブの主催者が惨殺され、さらに出席者たちも命を狙われていく。外界から隔絶された環境の中、事件の解決に向けて動きだすブルースたちだったが…。

ううむ。率直に言って、Grant Morrisonは何をしたかったのか分からない。50年代風の奇想天外な冒険談だろうか? だとすると、全体の固い雰囲気がちぐはぐだ。J.H. Williams IIIの絵は悪くない。キャラクターごとにペンタッチをKevin Nowlan風、Chris Bachalo風、Frank Miller/Klaus Janson風というように使い分けるという、おもしろい試みを行っている。

2007年12月11日

All-Star Superman #9

ビザロワールドを脱出し、地球に帰還したクラーク。彼の留守の間に、一組のクリプトン人が地球を訪れていた。当初、クラークは彼らを歓迎しようとする。しかし、人々とともに平和に暮らすことを願う彼とは正反対に、この2人は地球人を殲滅し、地球を第2の惑星クリプトンにしようと目論んでいた…。

冒頭、クラークの帰還シーンの表現力にまず目を奪われる。宇宙船が地表に墜落するさいの爆音が、開いたリーフから聞こえるようだ。さらに火山爆発の場面まで読み進んで、この作品では擬音がいっさい使われていないことに改めて気づいた。お話もおもしろい。“年長者は敬うように”には素直に感動。これがスーパーマンの良さだよなあ。

2007年12月10日

Superman/Batman #42

ダークサイド一味に意識を操られ、時空の彼方へ送り込まれたクラーク。地球への帰還はもはや絶望的だった。彼を救おうと、ブルースは文字どおり懸命の努力をする。しかし、彼は認めざるを得なかった。ともに戦っているうちに、ブルースはオリオンの妻、ベッカに抑えがたい想いを抱いてしまっていたのだ…。

“Torment”完結。評価しない人もいるようだが、僕は大満足。ブルースとベッカがもやのなかに消えていくくだりなど、悲鳴を上げたいほどだった(笑)。意志の力だけで時空の壁を突き抜けるのはたしかにむちゃだけど、決戦に臨んでお互いの手を握り合うブルースとベッカを見せられては、もう何を言うのも野暮とあきらめるしかない。いまから続編が楽しみだ。