King City Vol.1
3年にわたる放浪の旅を終え、ひとりの青年が大都会キングシティへ戻ってくる。彼の名前はジョー。放浪をつうじて“ネコ使い”の技をマスターした彼に、地下数百メートルの地点に建設された秘密施設から鍵を盗み出してほしいという依頼が入る。愛猫アースリングとともに鮮やかな手腕で仕事を片付けるジョー。しかし、この依頼の裏には大きな陰謀があった…。
Brandon Graham、待望の新作。彼らしいボヘミアン色の濃い犯罪ロマンスだ。読みながら「北京の秋」を何度か思い出した。序盤は物語の流れがゆるやかなこともありいくぶん退屈だが、友人のピートが人身売買組織とかかわるあたりから緊張感が高まり、がぜんおもしろくなっていく。ピートが両生人の少女を組織に引き渡すくだりの哀切さは忘れ難い。なにより楽しいのは、あるときは道具に、あるときは怪物に変化するネコ使いのアイデア。最初のうちは「死んだ猫の101の利用法」ふうの冗談のような変身ばかりだが、“グリーンランターンを意識した”という作者の言葉どおり、クライマックスには胸のすくような大活躍を見せてくれる。そして元恋人、アナの危機に自らを捨てて駆け寄るジョーのかっこいいこと。未成年(16歳以上)向けのためセックス描写がおとなしいのは残念だがぐっとがまん。続巻がとても楽しみだ。